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2009年10月アーカイブ

20091029
各 位

アジア太平洋研究所推進協議会

 

アジア太平洋研究所(API)推進協議会は1029日臨時総会を開催しました。決議事項の概要は下記のとおりです。

 

                 記

 

1.議  案 F/S活動報告と今後の方針について

 

2.決議事項 

当初計画では本臨時総会を以って、API設立の可否について決議を行う予定であったが、主に以下の諸点について認識を共有し、具体的な構想をもう1F/Sを深めることで見極めることが適当である判断した。

○経済環境の悪化とそれに応じたビジネスモデル(収益基盤)の詳細な検証の必要性

    ○アジア太平洋に対する国家スタンスの変化の見極め

    ○北ヤード街開きの遅れ

 

3.今後1年間の事業計画

  アジア太平洋研究所設立の最終判断のために必要な実証研究を実施する。主要なスタディとしては、以下のテーマとする。

(1)  国際共同研究

  グリーンニューディールの検討

前期に実施したトライアル研究会の更なる深化を図り、国際共同研究のあり方を検討する。

  東アジア共同体構想に関する研究 

東アジアの玄関口、並びに政治的に中立な大阪という地理的アドバンテージを生かしつつ、「東アジア共同体構想」などアジア太平洋地域の共通テーマを掘り起こし、共同研究プロジェクトを形成し、ビジネスモデルを明確化する。

   

2)ビジネスモデルの明確化・賛同者の拡大

    上記(1)を実践しつつ、APIの機能、組織を検証するとともに、APIの賛同者拡大を図る。

アジア太平洋研究所推進協議会シンポジウム

Asia Pacific Institute Promotion Council Symposium

『アジア太平洋研究所の目指すものと試み』

The Objective of API

主催:アジア太平洋研究所推進協議会

後援:大阪府大阪市(社)関西経済連合会UR都市機構

(株)ナレッジ・キャピタル・マネジメント

 

 

アジア太平洋研究所推進協議会では、二〇〇八年四月以降、アジア太平洋研究所(API)の設立に向けたさまざまな調査活動を行ってきた。これらの活動のマイルストーンとして、「アジア太平洋研究所の目指すものと試み」と題したシンポジウムを二〇〇九年九月二十五日に、大阪の堂島リバーフォーラムで開催した。

第一部前半は、API推進協議会議長である寺島実郎がコーディネーターとなり、大阪市長の平松邦夫氏と情報通信研究機構理事長で前大阪大学総長の宮原秀夫氏をパネリストとして招き、大阪駅北地区先行開発区域(以下、北ヤード)の大型再開発に伴う、APIの位置づけと役割について、約七〇〇名の聴衆の前で意見交換を行った。また、第一部後半では、寺島議長が「世界潮流とAPIの目指すもの」と題した講演を行った。

第二部では、トライアル研究会「オバマ政権のグリーン・ニューディール政策にアジアはどう併走すべきか」の主査、澤昭裕氏(経団連21世紀政策研究所研究主幹)から、研究会から浮かび上がった課題について報告があり、その後、村上憲郎グーグル(株)名誉会長、森田裕二(財)日本エネルギー経済研究所理事、鈴木達治郎(財)電力中央研究所・社会経済研究所研究参事の三氏がコメンテーターとして、それぞれの立場からの意見を述べた。


以下は、アジア太平洋研究所推進協議会事務局が作成したその要約である。

第一部

パネル・デスカッション「ナレッジキャピタルにおけるAPIの位置づけ」

 

北ヤード開発で目指す世界の大阪

まず、北ヤード開発プロジェクトに関して、寺島議長から大阪には一通りのインフラや「器もの」があるので、いよいよ世界への発信力を持ち、また世界から人を引き寄せるコンテンツづくりの段階であるという認識が提起された。大阪の新しい街づくりの中核をなすのが、宮原氏の提唱する「ナレッジキャピタルプラットフォーム」構想(以下、KCP)である。KCPは、大中小の企業、大学の研究者、クリエーター、そして市民が集中することによって、感性と技術が融合した新しい知的価値を創造する場である。このプラットフォームによって、東京に流れがちな大阪の若手の才能を取り戻す狙いがある。また、大阪から世界に向けての情報発信をして、大阪のイメージアップをはかり、さらに経済活動の活性化につなげていく役割も期待される。

APIには、国際共同研究や留学生交流などを通じ、情報発信の場、情報の磁場としての役割がある。またAPIが、ネットワーク型シンクタンクとして、KCPに設立されることによって、さまざまな人材が交流し、チャレンジする場になる潜在性も議論された。

 

アジアに開かれた大阪

平松氏は、大阪が歴史的に、東アジア、南アジア、さらには欧米までを含めた玄関口として日本の代表格であったと認識している。大阪港の貿易量や関西国際空港の国際便におけるアジアの占める比重は高い。

政権交代も起こり、様々な変化が起こることが予想される中、東京一極集中ではなく、これから大阪が何をしなければならないのかということを世界中から問われる時がやってくるという問題意識についても言及がなされた。今後、大阪はアジアの大都市として、独自の文化を有しながらも多様性を認め合い、ますます賑わう街となることが期待される。

 

留学生の拠点となる大阪

大阪が、文科省の「留学生三〇万人計画」のもと、留学生の研究の拠点、就職につながる窓口となる可能性についても議論。大阪周辺には有数の国立、私立の大学が数多く集積している。大阪大学の源流の懐徳堂は、一七三〇年に大阪の豪商が北浜に作った塾であり、大阪には後進の育成を重んずる文化がある。日本の留学生の受け入れ体制の不備が指摘されるなか、APIは、関西の大学と連携して、優秀な留学生や国際的な若手人材の「止まり木」的な存在としての役割が期待されることが確認された。

 

第二部

『オバマ政権のグリーン・ニューディール政策にアジアはどう併走すべきか』

 

グリーン・ニューディールとアジア

まずは、澤主査から、オバマ政権のグリーン・ニューディールの本質は、環境政策というよりはエネルギー安全保障政策と産業政策ではないかと問題提起があった。その戦略的意図としてアメリカは、他国から石油依存の脱却や、日本に先を越された形となっている電気自動車で巻き返しを図ろうとしているのではないか。世界のCO2排出量の二割を占めるアメリカは、同じく2割を排出する中国と連携して、再生可能エネルギーについて今後の国際的な枠組みのデファクト・スタンダードを決めるのではないか等、様々な分析の視点が提起された。また、米中間のルールづくりに対して日本もきちんとアンテナを張り、日本がアジア太平洋地域における産業政策に貢献すべきではないかという点についても言及された。

 

スマートグリッド

エネルギー安全保障が重要なテーマとなるなか、電力供給体制の多様化が、さまざまなクリーン・エネルギーの普及の試みと関連して進んでいる。

 その一つに、次世代双方向送電網という、非常に高度かつ小型分散型の、きめ細かいネットワーク技術で送配電するという仕組み、すなわちスマートグリッドがある。中国政府は、スマートグリッドを二〇二〇年までに標準装備すると言っており、また、日米でもこれに着目しているが、実は欧州ではすでに二〇〇二年からスマートグリッドに関する欧州横断の実証実験が始まっている。インターネット社会の中心的存在であるグーグル社のスマート・グリッドの取り組みについての説明もあった。

 

APIに期待されること

世界がエネルギー自給率を高めている中、アジアでは、中国やインド等の新興国を中心に中東からの石油輸入が増えている。APIでは、アジア全体を見て、エネルギー消費と生産の在り方に関する共同研究の実施が期待される等の提案がなされた。

また、日本のシンクタンク機能の充実の必要性について提起された。例えば、データベースの充実や共有は、政策議論をする時に不可欠ではないか。いろいろな政策課題を総合的に議論し、多様な価値観を交換する場も必要であるのではないか。また、外交の場で、政府と民間がインフォーマルに、かつフランクに政策議論をする、「トラック2」方式の議論の場をシンクタンクの中で用意すればいいではないか等、新しいシンクタンクAPIについて建設的な意見が活発に出された。

 

文責:API推進協議会事務局